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日本における喘息増悪の地域差は?

Regional differences in the incidence of asthma exacerbations in Japan: A heat map analysis of healthcare insurance claims data

日本における喘息増悪の地域差:診療報酬明細データを用いたヒートマップ解析

Yokoyama A, et al. Allergol Int. 2022 Jan;71(1):47-54. doi: 10.1016/j.alit.2021.08.010. Epub 2021 Sep 4.


 日本における喘息死の地域差はこれまで報告されていたが、喘息増悪の地域差についての検討はなかった。筆者らは診療報酬明細(レセプト)データを用いて、喘息増悪の地域差をヒートマップ解析の手法を用いて検討した.

研究期間内での喘息増悪頻度は地域差があり、最大で6倍の差がついていた。


研究デザイン:

Medi-Scope社の016年10月1日から2019年12月31日までの期間のレセプトデータを用いた後方視的コホート研究

基準日(index date)は2018年10月1日以前で最後に喘息関連処方がされた日

基準日からさかのぼって1年前までをプレインデクス期間、基準日から1年後までをフォローアップ期間と設定

フォローアップ期間の喘息増悪を解析

喘息患者の背景因子はプレインデックス期間のものを解析

対象患者群

喘息コホート:喘息の診断がされており、喘息関連の処方が2回以上行われている患者

ICS治療喘息コホート:プレインデックス期間にICSやICS/LABAが少なくとも1回以上処方されている喘息患者

ICS継続治療の喘息コホート:プレインデックス期間にICS,ICS/LABAが4回以上処方されている喘息患者群(主要評価対象群)


除外基準:

研究期間内に他疾患(自己免疫疾患、多発性硬化症、ネフローゼ症候群等)に対して経口ステロイドが投与されている患者


結果:

全体で1,712,212名が対象期間(2016/10/1-2019/12/31)に喘息と診断されていた

  • 204,139名がプレインデックス期間に喘息治療を継続的に受けていた(喘息コホート)

  • 75,188名にプレインデックス期間にICSが処方されていた(ICS治療喘息コホート)

  • 24,883名にプレインデックス期間にICSが継続的に処方(ICS継続治療喘息コホート)


各コホートでの都道府県ごとの喘息患者数の比較

  • 喘息コホート: 東京都が最多(n=25,169)、鳥取県が最少(n=795)

  • ICS治療コホート: 東京都が最多(n=10,303)、高知県が最少(n=293)

  • ICS継続治療コホート: 東京都が最多(n=3,170)、 福井県が最少(n=100)


以降はICS継続治療コホートでの解析結果である

喘息増悪の頻度の地域差:

入院を要した喘息増悪率は、全体で1.85/100人-年

  • 最も高い地域は中国地方(2.95/100人-年) 低い地域は関東地方(1.52/100人-年)

静注ステロイドを要した増悪は全体で27.88/100人-年

  • 都道府県で最多は福井県(96/100人-年) 最少は長崎県(8.92/100人-年)

経口ステロイド(OCS)バーストを要した増悪は全体で14.47/100人-年

  • 最多は沖縄県(32.92/100人-年)最少は京都府(5.76/100人-年)

  • 約6倍の差

入院+静注ステロイド+OCSをあわせた複合転機 39.87/100人-年

  • 最多は福井県(105/100人-年)最少は長崎県(15.69/100人-年)

  • 6.7倍の差

増悪頻度と患者背景の関連:

 OCS処方とは関連なし

 静注ステロイドとは関連あり(r=0.79)


※尚、本研究には75歳以上の患者は含まれていない。→ 高齢者に多い、喘息死の影響は本研究では説明できない



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​Okinawa Asthma COPD Control Seminar

代表世話人:原永修作
​琉球大学病院
​沖縄県中頭郡西原町上原207番地
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