Efficacy of budesonide/glycopyrronium/formoterol metered dose inhaler in patients with COPD: post‑hoc analysis from the KRONOS study excluding patients with airway reversibility and high eosinophil counts.
Muro et al. Respir Res (2021) 22:187 https://doi.org/10.1186/s12931-021-01773-1
本報告は2018年に報告されたKRONOS研究(Lancet Respir Med.2018;6(10):747–58.)のサブ解析研究である。
KRONOS研究は中等症以上の症状があるCOPDに患者に対してICS/LABA/LAMA (budesonide/glycopyronium/formoterol) の合剤(ビレーズトリTM)がICS/LABA群と比較してトラフ1秒量を改善させたことを示した研究であり、今回のサブ解析は そのKRONOS研究の中で、末梢血好酸球数が≦300個で、気道可逆性も乏しいという喘息病態の特徴のない群におけるICS/LABA/LAMA製剤(ビレーズトリ)の効果を検討したものである。
結果:
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ビレーズトリ群はビベスピ群(LAMA/LABA)と同等の呼吸機能改善効果を示し、シムビコートと比較して優位に朝の1秒量を改善させ、ビベスピ群やシムビコート群と比較して中等症-重症のCOPD増悪を抑制した。
これにより、トリプル製剤であるビレーズトリは喘息病態の要素の乏しい患者においても有効であることが示唆された。
本研究の結果を解釈する上での注意点
本研究の結果は、研究対象が以下のような患者群であるということに注意して解釈する必要があるだろう。
約7割がもともとICSを含む治療を受けていた(何らかの喘息要素があった可能性は否定的でない)
好酸球数の中央値が130程度である(200-290の患者もある程度含まれている)
約7割程度がCOPD増悪が年に1回もない
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また、論文のlimmitationにも述べられているが、対象症例数が948であり、観察期間も24週であったことが増悪頻度や肺炎など有害事象を評価するには十分でない可能性がある。
今後、トリプル治療が有用なCOPD症例の適応が喘息病態の乏しい患者に対しても広がる可能性が期待される結果であるが、本研究はICS/LAMA/LABAのトリプル治療が、喘息病態の要素のないCOPD患者のすべてに当てはまることを証明したものではなく、ICSを含む治療を受けていた、好酸球が中央値で130程度の、増悪頻度の少ない群において確認された効果ということに留意する必要があるだろう。